固めプリンとなめらかプリンの違いは?食感が変わる3つの理由

スプーンを入れると手ごたえのある固めプリンと、口の中でとろけるなめらかプリン。材料はほとんど同じなのに、なぜここまで食感が変わるのでしょうか。
答えは三つあります。卵のどの部分を使うか、乳製品に何を使うか、どのくらいの温度で火を入れるかです。この三つの組み合わせで、固くもやわらかくも仕上がります。
当店は創業から固めのプリンを焼いてきました。厨房での作り方もまじえながら、二つのタイプの違いを順にご説明します。
固めプリンとなめらかプリンの違いは卵と乳と火加減
先に全体をまとめます。二つのタイプの違いは、次の表のとおりです。
| 固め | なめらか | |
|---|---|---|
| 卵 | 全卵(卵白も使う) | 卵黄が中心 |
| 乳製品 | 牛乳 | 牛乳に生クリームを加える |
| 火の入れ方 | しっかり固まるまで | 固まりはじめで止める |
| 食感 | 弾力があり、卵の味がはっきり | やわらかく、濃厚でクリームに近い |
| 盛りつけ | 型から出して皿や器に | カップや瓶のまま |
プリンの材料は、卵、牛乳、砂糖の三つが基本です。卵に含まれるタンパク質は、加熱すると固まる性質があります。この力で卵液を固めたものがプリンです。
どちらのタイプも、卵が熱で固まる力を利用している点は同じです。違いは「その力をどれだけ使うか」にあります。固めは卵の力を目いっぱい使い、なめらかは脂肪分で固まり方をやわらげています。
違い①|全卵を使うか卵黄だけを使うか
いちばん大きな違いは卵です。卵白が多いとしっかり固まり、卵黄が多いとなめらかで濃厚になります。
卵白は、およそ60℃から固まりはじめ、80℃前後でしっかりと固まります。固まったときに弾力が出るのが特徴で、ゆで卵の白身を思い浮かべていただくとわかりやすいと思います。スプーンを入れたときのあの手ごたえは、卵白によるものです。
卵黄は脂肪分を多く含み、固まってもねっとりとした口あたりになります。卵黄だけ、または卵黄を多めにした生地は、固まり方がおだやかです。
当店のプリンは、全卵だけを使っています。プリンひとつに卵を一個。卵黄を足すことも、卵白を減らすこともしていません。
違い②|牛乳だけか生クリームを加えるか
二つめの違いは乳製品です。なめらかなタイプの多くは、牛乳の一部を生クリームに置きかえています。
生クリームや卵黄に含まれる脂肪分は、卵が固まるのをやわらげ、火を入れたあともなめらかさを保ちます。濃厚でクリームのような風味に感じられるのは、このためです。
固めのタイプは牛乳だけで作るのが基本です。脂肪分が少ないぶん卵の味が前に出て、後味はさっぱりします。苦めのカラメルソースや珈琲とよく合うのは、味が軽いからでもあります。
違い③|焼く温度と時間
三つめは火の入れ方です。固めに仕上げる場合は、卵液の中心までしっかり固まるように加熱します。なめらかに仕上げる場合は、固まりはじめたところで火を止め、余熱で仕上げます。
ただし、固めにしたいからといって温度を上げればよいわけではありません。火が強すぎると、生地に細かい穴があく「す」が入ります。舌ざわりがざらつき、見た目も悪くなります。
当店では、湯を張った天板に型を並べ、低めの温度のオーブンで50分ほどかけて蒸し焼きにしています。時間はかかりますが、固いのに口あたりのよい仕上がりになります。焼き上がったら一晩冷やし、生地を落ち着かせてからお出しします。
砂糖の量でも固さは変わる
見落とされがちですが、砂糖の量も食感を変化させます。製菓材料の専門店が行った実験では、同じ卵液でも砂糖を増やすほどやわらかくなり、減らすほど固く仕上がっています。甘さひかえめのレシピが固めになりやすいのは、このためです。
固めプリンとなめらかプリンはどちらを選ぶか
どちらがおいしいかは、好みと、何と一緒に食べるかで変わります。選ぶときの目安をまとめました。
- 卵の味と食べごたえがほしい方:固めのタイプ。苦めのカラメルや、深煎りの珈琲と合います。
- 濃厚さと口どけがほしい方:なめらかなタイプ。紅茶や、あっさりした飲み物と合います。
- 手みやげにする場合:瓶やカップに入ったものが持ち運びやすく、崩れる心配がありません。
プリンにはこのほかにも種類があります。近ごろ人気のイタリアンプリンは、チーズや生クリームを加えて、さらにどっしりと固く焼いたものです。フランスのクレームブリュレは、卵黄と生クリームで作るなめらかなデザートで、表面の砂糖を焦がして仕上げます。
当店のカスタードプリンは、自家焙煎の深煎り珈琲と合わせることを考えて作っています。珈琲の選び方は、深煎りと浅煎りの違いの記事もご覧ください。
固めプリンとなめらかプリンのよくある質問
ゼラチンで固めたプリンとは何が違いますか?
ゼラチンや寒天などで冷やし固めるタイプは、卵の力ではなく凝固剤の力で固まっています。卵をほとんど使わないものもあり、つるんとした口あたりになります。焼いたプリンのような卵の弾力はありません。
家で作ると「す」が入るのはなぜですか?
原因のほとんどは温度の上げすぎです。蒸し器なら弱火にして、ふたを少しずらしてください。オーブンなら、天板に湯を張り、温度を低めにして時間をかけます。
瓶詰めと店内のプリンは同じものですか?
生地は同じです。瓶詰めプリンは型から出さずに瓶のまま召し上がっていただくため、カラメルは底に入れています。よく冷やし、当日中にお召し上がりください。
まとめ|固めプリンは全卵と牛乳で低温で焼く
固めプリンとなめらかプリンの違いは、卵、乳製品、火の入れ方の三つです。全卵と牛乳を使い、中心までしっかり火を入れると固めに。卵黄と生クリームを使い、固まりはじめで止めるとなめらかになります。
当店では、創業の頃と同じ作り方で、毎朝プリンを焼いております。数に限りがございますので、お早めにお越しください。営業時間と場所は営業のご案内をご覧ください。

平成二十七年に先代より琥珀堂を引き継ぎました。毎朝プリンを焼き、週に数回、店内で珈琲豆を焙煎しております。