コーヒーの深煎りと浅煎りの違いは?味と選び方を喫茶店が解説

コーヒー豆を買うとき、「深煎り」と「浅煎り」のどちらを選べばよいか迷うことはないでしょうか。同じ産地の豆でも、焼き方によって味がまったく変わります。
違いをひとことで言うと、浅煎りは酸味が、深煎りは苦味が前に出ます。豆を火にかける時間の長さで、味の向きが決まります。
当店は店内の焙煎機で毎週豆を焼いています。この記事では、焙煎による味の違い、焙煎度の段階、飲み方に合わせた選び方を解説します。
コーヒーの深煎りと浅煎りの違いは焙煎の時間
コーヒーの生豆は、もとは薄い緑色をしています。これを火にかけて煎ることを「焙煎」と呼びます。焙煎の時間が短いものが浅煎り、長いものが深煎りです。その中間を中煎りと呼びます。
| 浅煎り | 中煎り | 深煎り | |
|---|---|---|---|
| 豆の色 | 明るい茶色 | 茶色 | 黒に近いこげ茶 |
| 酸味 | 強い | ほどよい | ほとんど感じない |
| 苦味 | 弱い | ほどよい | 強い |
| 香り | 果物や花のような香り | 豆そのものの香り | 香ばしい香り |
| 向く飲み方 | ブラック | ブラック | ミルクや砂糖を入れて、アイスで |
焙煎の工程では、まず生豆の水分が抜け、豆が少しずつ色づいていきます。さらに火を入れるとパチパチとはぜる音がして、香りが立ってきます。どこで火から下ろすかによって、焙煎度が決まります。数十秒の違いで風味が変化するため、焙煎時間の見きわめがいちばん神経を使うところです。
焙煎が進むほど酸味は弱まり、かわりに苦味と香ばしさが出てきます。どちらが上ということはなく、味の向きが違うだけです。
焙煎度は浅煎りから深煎りまで8段階ある
浅煎り・中煎り・深煎りという呼び方のほかに、焙煎度をさらに細かく分けた8段階の呼び名があります。豆の袋に書かれていることがあるので、覚えておくと選びやすくなります。
| 区分 | 段階の名前 | 味の傾向 |
|---|---|---|
| 浅煎り | ライト、シナモン | 酸味が強く、苦味はほとんどない |
| 中煎り | ミディアム、ハイ | 酸味がやわらぎ、苦味が少し出てくる |
| 中深煎り | シティ、フルシティ | 酸味と苦味のつり合いがとれる |
| 深煎り | フレンチ、イタリアン | 苦味と香ばしさが強い |
いちばん浅いライトやシナモンは、酸味がかなり強く、店頭で見かけることは多くありません。日本の喫茶店や家庭でよく飲まれているのは、ハイからシティのあたりです。フレンチやイタリアンまで焼くと、豆の表面に油が浮いて、つやが出てきます。
焙煎度合いの呼び方に厳密な決まりはなく、どこからを深煎りと呼ぶかは店によって少しずつ違います。当店の「琥珀ブレンド」は、フルシティからフレンチのあたりまで焼いています。
焙煎度による味の違い
同じ豆を三つの焙煎度で焼き分けると、別の種類の豆かと思うほど味が変わります。それぞれの特徴を見ていきます。
浅煎りは酸味とさわやかさ
焙煎が浅いと、豆がもともと持っている酸味がいちばんはっきり出ます。フルーティーでさわやかな味になり、お茶のようにすっきり飲めます。エチオピアなど、香りに個性のある産地の豆は、浅めに焼いて持ち味を生かすことが多いです。苦いコーヒーが苦手な方に向いています。
中煎りは豆そのものの味
中煎りは、酸味と苦味のバランスがとれていて、豆の産地や品種による違いがわかりやすい焙煎度です。一般的な喫茶店の「ブレンド」に多いのも、このあたりです。
深煎りは苦味と香ばしさ
焙煎を深くすると酸味をほとんど感じなくなり、苦味と香ばしさが前に出ます。チョコレートのような甘い香りを感じることもあります。味が強いため、ミルクや砂糖を加えてもコーヒーの味がぼやけません。「コーヒーは酸っぱいから苦手」という方は、深煎りを選ぶと印象が変わることがあります。
深煎りと浅煎りの選び方
自分の好みがまだわからないときは、どうやって飲むかで決めると失敗がありません。
- ブラックですっきり飲みたい:浅煎りか中煎り。
- ミルクを入れてカフェオレにしたい:深煎り。濃いめに抽出すると、ミルクに負けません。
- アイスコーヒーにしたい:深煎り。氷で薄まっても苦味が残ります。
- 甘いものと一緒に飲みたい:プリンやケーキのような甘味には深煎り、焼き菓子には浅煎りがよく合います。
はじめて豆を買う方は、まず中煎りを基準にしてみてください。「もっと苦くてもいい」と感じたら深いほうへ、「もっと軽いほうがいい」と感じたら浅いほうへ進むと、好みの焙煎度が見つかります。
ミルクや砂糖を入れるかどうかも、選ぶときの手がかりになります。いつもブラックで飲む方は、酸味と苦味のどちらが好きかで決めてください。カフェオレにする場合は、ミルクの甘さに負けない苦味のある豆のほうが、味の調整がしやすくなります。
焙煎度とあわせて、豆の状態も確かめてください。焙煎してから日がたつと、どの焙煎度でも香りが抜けていきます。少量ずつ買い、飲む直前に挽くのが、おいしい一杯への近道です。
琥珀堂のコーヒーが深煎り中心である理由
当店の豆は、深めに焼いたものが中心です。理由は、名物の固めプリンと一緒に召し上がるお客様が多いためです。
プリンの甘さとカラメルのほろ苦さには、酸味の少ない深煎りのコーヒーが合います。酸味の強い豆を合わせると、カラメルの苦味とぶつかってしまいます。創業の頃から、プリンに合わせて豆を焼いてきました。
店内の焙煎機は一度に焼ける量が少ないため、週に二、三回に分けて焼いています。手間はかかりますが、いつも焼いてから日の浅い豆をお出しできます。
プリンについては、固めプリンとなめらかプリンの違いの記事でご紹介しています。お飲み物の一覧は珈琲のお品書きをご覧ください。
深煎りと浅煎りのよくある質問
深煎りのほうがカフェインは多いのですか?
苦いぶん多そうに思えますが、逆です。深く焼いた豆は、浅く焼いた豆と比べて、カフェインがわずかに少なくなります。ただし差は小さいので、カフェインの量で選ぶ必要はあまりありません。夜に飲むときやカフェインをひかえたいときは、焙煎度よりも、飲む量と時間に気をつけるほうが確実です。
焙煎度によって淹れ方は変えたほうがいいですか?
当店では、深く焼いた豆はやや低めの温度の湯で、ゆっくりドリップしています。熱すぎる湯で抽出すると、苦味がきつく出るためです。ご家庭では、沸かした湯を少し置いてから注いでみてください。特別な道具は必要ありません。
店で使っているコーヒー豆は買えますか?
はい。店頭で量り売りをしております。豆のままでも、挽いてからでもお渡しできます。詳しくは営業のご案内にあるお電話か、店頭でおたずねください。
まとめ|深煎りは苦味 浅煎りは酸味で選ぶ
コーヒーの深煎りと浅煎りの違いは、焙煎の時間です。前者は苦味と香ばしさ、後者は酸味とさわやかさが特徴です。ブラックなら浅めか中煎り、ミルクやアイス、甘いものと合わせるなら深めを選んでみてください。
当店では、「琥珀ブレンド」をご注文ごとに一杯ずつお淹れしています。固めプリンとご一緒にどうぞ。豆選びで迷われたときは、店頭でもお気軽におたずねください。
参考にした資料

平成二十七年に先代より琥珀堂を引き継ぎました。毎朝プリンを焼き、週に数回、店内で珈琲豆を焙煎しております。