ピアノの習い事は何歳から?始める目安と年齢別のレッスン内容

「ピアノを習わせたいけれど、うちの子にはまだ早いでしょうか」。体験レッスンのお問い合わせで、いちばん多くいただくご質問です。3歳のお子さまのお母さまからも、小学3年生のお父さまからも、同じように聞かれます。
先にお答えすると、ピアノの習い事は3歳ごろから始められます。教室でいちばん多いのは、4歳から6歳で始めるお子さまです。ただ、年齢よりも大事な目安が3つあります。
この記事では、何歳から始められるのか、年齢ごとにどんなレッスンをするのか、早く始める良さと気をつけたい点を、鹿児島市でピアノ教室を開いている講師がお話しします。
ピアノの習い事は何歳から始められるか
ピアノの習い事は、早い教室で2歳半から、多くの教室で3歳から受け入れています。大手の音楽教室の幼児向けコースは、4歳から5歳を対象にしているところが多いようです。
当教室では、3歳からお受けしています。いま通っている38人の生徒さんが、何歳から始めたかを数えてみました。
| 始めた年齢 | 人数 | 最初のレッスンの中心 |
|---|---|---|
| 3歳〜4歳 | 9人 | リズム遊び、歌、カードで音符に親しむ |
| 5歳〜6歳 | 14人 | 鍵盤で短い曲を弾く、音符を読む |
| 小学生 | 8人 | 楽譜を読んで両手で弾く |
| 中高生・大人 | 7人 | 弾きたい曲を決めて取り組む |
5歳から6歳がいちばん多く、全体の4割ほどです。年長から小学1年生にかけては、文字や数字を覚える時期と重なります。音符を読むことにも、自然に入っていけます。
習い事としてのピアノには、数人で一緒に学ぶグループレッスンと、先生と一対一の個人レッスンがあります。3歳前後のお子さまには、音楽に合わせて体を動かす「リトミック」から入る教室もあります。どれがよいかは、お子さまの性格によります。にぎやかな場所が好きな子はグループ、じっくり取り組みたい子や人見知りの子は個人、というのが一つの目安です。
とはいえ、「何歳から」に正解はありません。3歳で楽しく始める子もいれば、小学4年生から始めて、2年で発表会の難しい曲を弾く子もいます。年齢は一つの目安として見てください。
何歳からでも確かめたいピアノの習い事を始める3つの目安
年齢よりも、次の3つができるかどうかを見ています。体験レッスンでも、ここを確かめています。
30分のあいだ先生と過ごせる
ずっと椅子に座っている必要はありません。幼児のレッスンでは、立って手をたたいたり、床でカードを並べたりします。大事なのは、お母さまから離れて、先生と一緒に何かをする時間が30分持てることです。
最初の数回は、お母さまのひざの上でも構いません。3回目くらいから、ひとりで部屋に入れるようになる子がほとんどです。
1から5までの数字が分かる
ピアノでは、指に1から5の番号をつけて教えます。親指が1、小指が5です。「3の指でミを弾いてみよう」と言ったときに、どの指か分かると、レッスンがとても進めやすくなります。
数字が読めなくても、指を折って5まで数えられれば十分です。
手を「グー」と「パー」にできる
鍵盤を押すには、指を1本ずつ動かす力がいります。3歳くらいまでは、まだ指がばらばらに動きません。グーとパーがしっかりできて、はさみやお箸を使い始めているなら、鍵盤にも触れられます。
手が小さいことは、心配しなくて大丈夫です。最初は片手で、となり合った3つの音だけを使う曲から始めます。
3歳から4歳でピアノの習い事を始める場合のレッスン
3歳から4歳のレッスンでは、30分のうち、鍵盤を弾く時間は10分ほどです。残りの時間は、歌をうたう、音楽に合わせて手をたたく、カードで音符の名前を当てる、といったことをします。
見学されたお母さまから、「遊んでいるだけに見えますが、大丈夫でしょうか」と聞かれることがあります。大丈夫です。この時期に育てているのは、拍を感じる力と、音の高い低いを聴き分ける耳です。この2つは、あとから楽譜を読んで弾くときの土台になります。
3歳から始めた子は、年長になるころには、両手で8小節ほどの曲が弾けるようになります。進みはゆっくりですが、「ピアノは楽しいところ」という気持ちが先に育つのが、いちばんの良さです。
早く始めるメリットは、もう一つあります。小学校に上がる前に、「毎週同じ曜日に通う」「先生の話を聞く」という習慣がつくことです。集中力も、30分のレッスンを重ねるうちに少しずつ伸びていきます。保護者の方からは、「園の先生に、話を聞く姿勢がよくなったと言われました」という声をいただくことがあります。
気をつけたいのは、おうちの方の負担です。この年齢は、家での練習に付きそいが必要です。1日5分、鍵盤の前に一緒に座る時間が取れるかどうかを、始める前に考えてみてください。
5歳から6歳でピアノの習い事を始める場合のレッスン
年中から年長にかけては、始めるのにいちばん無理のない時期です。先生の言うことが分かり、指も1本ずつ動かせるようになってきます。ひらがなや数字に興味が出てくるので、音符もどんどん覚えます。
この年齢のレッスンは、30分のうち20分ほどを鍵盤に使います。最初の3か月で、右手と左手を別々に使う短い曲を弾きます。半年ほどで、両手を同時に動かす曲に入ります。
ちょうど小学校に上がる前後なので、生活の変化が大きい時期でもあります。入学して1か月ほどは、疲れて練習どころではない子もいます。そういうときは、新しい曲に進まず、弾ける曲をくり返して過ごします。
3歳から始めた子と、5歳から始めた子の差は、小学2年生ごろにはほとんどなくなります。「早く始めないと追いつけない」ということは、ありません。
小学生からピアノを習い事にしても遅くない理由
「もう小学生なので、いまからでは遅いですよね」。そう言われることがありますが、遅くありません。小学生から始める良さは、3つあります。
- 先生の説明を言葉で理解できるので、進みが早い
- 「この曲が弾きたい」という自分の気持ちで始められる
- ひとりで練習できるので、おうちの方の付きそいがいらない
当教室には、小学4年生で始めた男の子がいます。最初の1年で、幼児から始めた子の3年分の教本を終えました。好きなゲームの曲を弾きたい、というはっきりした目標があったからです。
音楽大学を目指す、コンクールで上位をねらう、という場合は、早く始めたほうが有利なのは確かです。けれども、「好きな曲を自分で弾けるようになりたい」「学校の伴奏をやってみたい」という目的なら、小学生からで十分に間に合います。
小学生から始める場合に大切なのは、最初の半年で「弾ける曲」を1つ作ることです。同じ年の友だちが難しい曲を演奏しているのを見て、気後れしてしまう子がいるからです。当教室では、教本と並行して、本人が知っている曲のやさしい編曲を早めに渡しています。上達を自分で感じられると、練習は自然に続きます。
中学生や高校生、大人になってから始める方もいらっしゃいます。指は子どもほど柔らかくありませんが、練習の計画を自分で立てられるので、着実に進みます。
ピアノの習い事を早く始める良さと気をつけたいこと
早く始めることには、良さと注意点の両方があります。どちらも知ったうえで決めてください。
耳が育つ時期に音に触れられる
音を聴き分ける力は、幼児期に大きく伸びるといわれています。ある音を聴いて「これはソ」と分かる絶対音感は、3歳から5歳ごろに訓練を始めると身につきやすい、という説明をよく目にします。
ただ、絶対音感がなくても、ピアノは十分に楽しめます。当教室でも、絶対音感の訓練はしていません。曲の中で音の高さを比べる力(相対音感)は、何歳から始めても育ちます。
幼い指に無理をさせない
3歳や4歳の指は、まだ細くて力がありません。とくに小指は、鍵盤を押すと形がつぶれやすい指です。この時期に、強く弾かせたり、長い時間練習させたりするのは禁物です。
当教室では、年少のあいだは1回の練習を5分までにしてください、とお伝えしています。足りないくらいで終わるほうが、次の日もまた弾きたくなります。
「やめたい」は早く始めた子に多い
正直にお話しすると、小学校の中学年で「やめたい」と言い出すのは、幼児から始めた子に多い傾向があります。自分で選んだ習い事ではないからです。
そのときに備えて、早い時期から「自分で選ぶ」経験をさせています。発表会の曲を2つから選ぶ。シールの色を選ぶ。小さなことですが、「自分で決めた」という気持ちが続ける力になります。
ピアノの習い事を始める前に家庭でできること
教室に通う前から、おうちでできることがあります。どれも、特別な道具はいりません。
- 一緒に歌をうたう。童謡でも、アニメの歌でも構いません
- 音楽に合わせて手をたたく、歩く、止まる
- 指を1本ずつ折って数える遊びをする
- おもちゃのキーボードがあれば、自由に触らせる
楽器は、始める前に用意しなくて大丈夫です。最初の半年ほどは、キーボードでも練習できます。続けられそうだと分かってから、電子ピアノかピアノを考えれば間に合います。
もう一つ、お願いしたいことがあります。体験レッスンの前に、「ちゃんとやるのよ」と言い聞かせないでください。緊張して、ふだんの様子が見えなくなります。「先生とピアノで遊んでくるよ」くらいが、ちょうどよいと思います。
何歳から始めるか迷ったときによくある質問
3歳でじっとしていられなくても大丈夫ですか
3歳で30分じっとしていられる子は、ほとんどいません。幼児のレッスンは、5分ごとにやることを変えて進めます。途中で部屋を歩き回っても、戻ってこられれば大丈夫です。
きょうだいで一緒に始められますか
始められます。レッスンは一人ずつですが、続けて2枠お取りすることができます。下のお子さまが待つあいだは、となりの待合スペースで絵本や塗り絵をして過ごせます。
男の子でも続きますか
当教室の生徒さんのうち、男の子は3割ほどです。ゲームやアニメの曲を早めに取り入れると、長く続く子が多いです。サッカーや野球と両立している子もいます。
体験レッスンだけ受けて入会を見送ってもよいですか
もちろんです。「まだ早かった」と感じたら、半年後にもう一度体験を受けていただくこともできます。体験は何度受けても無料です。
ピアノの習い事は、3歳ごろから始められます。ただ、何歳からがよいかは、お子さま一人ひとりで違います。先生と30分過ごせるか、数字が5まで分かるか、指が動くか。この3つを目安に、お子さまの様子を見てあげてください。迷ったときは、体験レッスンで一緒に確かめましょう。

