ピアノの習い始めは電子ピアノでも大丈夫?選び方と買い替えの目安

「家にピアノがないのですが、習い始めても大丈夫でしょうか」。体験レッスンで、多くの保護者の方からいただくご質問です。マンションにお住まいの方や、まず続くかどうかを見たい方は、楽器のことでいちばん悩まれます。
結論からお伝えすると、ピアノの習い始めは、電子ピアノでも大丈夫です。当教室の生徒さんも、6割がご自宅では電子ピアノで練習しています。ただし、どんな電子ピアノでもよいわけではありません。
この記事では、習い始めに電子ピアノを選ぶときの条件、キーボードとの違い、価格の目安、ピアノに替える時期を、鹿児島市のピアノ教室の講師がお話しします。
ピアノの習い始めは電子ピアノでも大丈夫な理由
習い始めの1年から2年で身につけるのは、音符を読むこと、指を1本ずつ動かすこと、両手を合わせることです。これらは、電子ピアノでも十分に練習できます。
この楽器には、習い始めに向いた良さもあります。
- 音量を下げられるので、夜やマンションでも練習できる
- ヘッドホンが使える
- 調律がいらない
- ピアノより場所を取らず、価格も抑えられる
習い始めでいちばん大切なのは、毎日少しでも鍵盤に触ることです。「音が気になって弾けない」「置くスペースがなくて買えない」という理由で練習できないくらいなら、電子の楽器で毎日弾けるほうが、ずっと上達します。
一方で、音の響きの豊かさや、鍵盤を押したときの細かいタッチは、アップライトピアノやグランドピアノといった本物の楽器にかないません。この違いが気になってくるのは、もう少し先の話です。替える時期の目安は、あとでお話しします。
習い始めに知っておきたいキーボードと電子ピアノの違い
楽器店やネットでは、「キーボード」と「電子ピアノ」が並んで売られています。見た目は似ていますが、習い事に使うなら別のものと考えてください。
| キーボード | 電子ピアノ | |
|---|---|---|
| 鍵盤の数 | 49鍵・61鍵が多い | 88鍵(ピアノと同じ) |
| 鍵盤の重さ | 軽く、浅い | ピアノに近い重さがある |
| 強弱 | つけにくい | 弾く強さで音量が変わる |
| ペダル | ないか、別売り | ついている |
| 価格 | 1万円〜3万円ほど | 5万円〜30万円ほど |
いちばんの違いは、鍵盤の重さです。キーボードは、軽く触れただけで音が出ます。キーボードだけで練習していると、教室のピアノを弾いたときに「重くて音が出ない」ということが起こります。
とはいえ、最初の半年ほどは、キーボードでも構いません。習い始めに使う音は、真ん中の10個ほどです。すでにおうちにキーボードがあるなら、まずはそれで始めて、続けられそうだと分かってから購入を検討すれば大丈夫です。
習い始めの電子ピアノを選ぶ4つの条件
購入するときに、これだけは確認してほしい条件が4つあります。機能の多さや音色の数は、気にしなくて構いません。
鍵盤が88鍵ある
ピアノの鍵盤は88個です。習い始めのうちは真ん中しか使いませんが、2年目に入ると、低い音や高い音が出てきます。61鍵や76鍵のものは、そこで買い替えることになります。最初から88鍵を選んでください。
鍵盤に重さがある
鍵盤を押したときに、ピアノに近い手ごたえがあるものを選びます。カタログには「ハンマーアクション」などと書かれています。軽すぎる鍵盤では、指の力も、強弱をつける感覚も育ちません。
できれば楽器店で、実際に触って確かめてください。となりにピアノがあれば、弾き比べるのがいちばん分かりやすい方法です。
ペダルがついている
右のペダルは、音を伸ばすためのものです。小学2年生から3年生ごろの曲で使い始めます。本体と一体になった3本のペダルがついているものなら、あとで困りません。
折りたたみ式の台に、別売りのペダルを床に置くタイプもあります。踏むたびにペダルが動いてしまうので、子どもには扱いにくいです。
椅子の高さを変えられる
見落としやすいのが、椅子です。食卓の椅子では、小さな子には低すぎます。ひじが鍵盤と同じ高さになるように、高さを変えられる椅子を用意してください。足が床に届かないあいだは、足を置く台もあると姿勢が安定します。
よい姿勢で弾けるかどうかは、楽器の値段よりも、椅子の高さで決まります。
習い始めに選ぶ電子ピアノの価格の目安
上の4つの条件を満たすモデルは、10万円前後からあります。10万円台の後半になると、鍵盤の手ごたえや音がさらにピアノに近づきます。当教室では、「10万円から20万円のあいだ」を目安としてお伝えしています。
5万円前後のものにも、88鍵で重さのある機種はあります。ただ、ペダルや台が別売りで、そろえると結局10万円近くになることがあります。本体の値段だけでなく、台、ペダル、椅子を合わせた金額で比べてください。
中古のものは、あまりおすすめしていません。電子の楽器は家電と同じで、年数がたつと鍵盤の反応が悪くなることがあります。修理の部品がもう手に入らない、ということもあります。
いきなり買うのが不安な方には、月に数千円で借りられるレンタルもあります。半年借りてみて、続きそうなら買う、という方法です。
電子ピアノからピアノに替える時期の目安
「ずっと電子ピアノのままで大丈夫ですか」というご質問も、よくいただきます。趣味として演奏を楽しむなら、ずっとこのままでも困ることはありません。大人の生徒さんにも、長年そうされている方がいらっしゃいます。
替えることを考える目安は、次のようなときです。
- 教室のピアノだと、家で弾けていた曲がうまく弾けない、と本人が言い出したとき
- ペダルを細かく踏み分ける曲に入ったとき
- コンクールや、音楽の道への進学を考え始めたとき
替える先は、多くのご家庭でアップライトピアノです。グランドピアノは、置くスペースと費用の面で、音楽の道を考える場合の選択になります。どちらにするかは、お子さまの年齢と目標をうかがったうえで、先生に相談して決めるのが失敗のない方法です。
当教室では、小学4年生から5年生ごろに、ご相談を受けることが多いです。その場合も、すぐに買うのではなく、まずは住まいの条件を確かめます。マンションでは、管理規約で楽器の時間帯が決まっていることがあります。
置き場所や音の問題でピアノがむずかしいときは、鍵盤の仕組みが本物のピアノと同じ「ハイブリッドピアノ」という選択もあります。価格は上がりますが、ヘッドホンが使えます。
習い始めに電子ピアノで練習するときの工夫
ご家庭で練習するときに、少し気をつけるだけで、上達がかなり変わります。生徒さんにお伝えしていることを4つご紹介します。
- 音量は、小さくしすぎない。目盛りの真ん中より上にする
- ヘッドホンばかりにしない。週に何度かは、スピーカーから音を出して弾く
- リビングなど、家族の目が届く場所に置く
- ふたを開けたままにして、すぐ弾けるようにしておく
とくに大事なのは、音量です。音を小さくしていると、強く弾く癖がつきます。その弾き方のまま教室のピアノを弾くと、びっくりするほど大きな音が出てしまいます。
置き場所も、続くかどうかを左右します。子ども部屋の奥に置くと、だんだん弾かなくなります。習い始めのうちは、おうちの方の声が届く場所に置いてあげてください。「いまの上手だったね」のひとことが、いちばんの練習の助けになります。
習い始めの楽器についてよくある質問
楽器はいつまでに用意すればよいですか
入会のときに、なくても構いません。キーボードがあれば、それで始めてください。何もない場合は、最初の1か月のうちに用意していただけると、家での練習が始めやすくなります。
どのメーカーがよいですか
楽器メーカーが出しているものなら、どこでも大丈夫です。メーカーよりも、上の4つの条件を満たしているかどうかを見てください。迷ったときは、候補の型番を教えていただければ、一緒に確かめます。
本物のピアノでないと変な癖がつきませんか
重さのある鍵盤で、音量を下げすぎずに練習していれば、心配いりません。週に一度、教室のピアノを弾くことで、手ごたえの違いにも少しずつ慣れていきます。
祖父母の家に古いピアノがあります
長く弾いていないピアノは、まず調律師さんに見てもらってください。調律と簡単な手入れで使えることも多いです。運ぶ費用と合わせて、新しく買う場合と比べてみるとよいと思います。
ピアノの習い始めは、電子ピアノでも大丈夫です。88鍵あること、鍵盤に重さがあること、ペダルがついていること、椅子の高さを変えられること。この4つを確かめて選べば、最初の数年は安心して練習できます。楽器選びで迷ったら、体験レッスンのときにお気軽にご相談ください。

