第一章
まだ鳴けない
うぐいすよまだ鳴けぬなら聞いておけ
うぐいすも初めの声はぎこちない
朝の枝うぐいすひとり口つぐむ
うぐいすよ鳴けない日にも春は来る
うぐいすが隣の声を真似てみる
うぐいすよ下手な一声恥じるなよ
雨の森うぐいすだけが声を待つ
うぐいすも自信がなくて枝を変え
うぐいすよまだ何者でなくていい
うぐいすが声なき朝に空を見る
うぐいすよ急がぬ春も春である
うぐいすも誰かの声に憧れる
木の陰でうぐいすひとり練習中
うぐいすよ鳴けぬ時間も育ってる
うぐいすが小さく息を吸い込んだ
第二章
声を探す
うぐいすが試しにひとつ声を出す
うぐいすよ昨日の声と違っていい
うぐいすも一度鳴いたら後戻り
うぐいすが外した音を風が消す
うぐいすようまく鳴くよりまず鳴こう
うぐいすも先生なしで春を知る
うぐいすが何度も同じ枝に立つ
うぐいすよ失敗ひとつ声になる
うぐいすも昨日の自分を真似ている
夕暮れにうぐいすひとりまた試す
うぐいすよ人の鳴き方借りていい
うぐいすが借りた声では届かない
うぐいすも違うと気づきまた探す
うぐいすよ迷った数だけ声がある
うぐいすがようやく自分を聞いている
第三章
声を出す
うぐいすが誰もいなくてなお鳴いた
うぐいすよ聞かれる前に声を出せ
うぐいすも反応なくてもまた鳴ける
うぐいすが朝一番の声を出す
うぐいすよ小さな声も声は声
うぐいすもいいねの数は知らぬまま
うぐいすが今日も誰かに届く声
うぐいすよ黙っていては見つからぬ
うぐいすも鳴けばときどき無視される
うぐいすがそれでも明日も枝に立つ
うぐいすよ下手でも今日の声を出せ
うぐいすも誰かのために鳴く日あり
うぐいすが仕事のように朝を鳴く
うぐいすよ休んだ午後も悪くない
うぐいすも張り切りすぎて声かれる
うぐいすがひと休みしてまた鳴いた
うぐいすよ売れない日にも声を出せ
うぐいすも今日の仕事をやり終える
うぐいすが知らない誰かを振り向かす
うぐいすよ自分の声で飯を食え
第四章
森の外を見る
うぐいすが隣の森を眺めてる
うぐいすよ向こうの枝はよく見える
うぐいすも隣の鳥を気にしてる
うぐいすが大きな声に負けた朝
うぐいすよ声の大きさで競うなよ
うぐいすもあいつばかりが褒められる
うぐいすが悔しくなってまた鳴いた
うぐいすよ負けたと思えば負けなのか
うぐいすも遠くへ行けば変われるか
うぐいすが知らない森へ羽を向け
うぐいすよ都会の空は広いかね
うぐいすも大きな森で小さくなる
うぐいすが誰かの後ろで声を張る
うぐいすよ目立つことだけ春じゃない
うぐいすも数字を見たら焦るだろ
うぐいすが比べるたびに声をなくす
うぐいすよ誰かの春を羨むな
うぐいすも自分の枝を忘れてた
うぐいすが遠回りして森へ帰る
うぐいすよ戻れる場所がある強さ
第五章
自分の森
うぐいすがいつもの枝に腰おろす
うぐいすよこの森だって悪くない
うぐいすも小さな森に役がある
うぐいすが名前も知らぬ花と鳴く
うぐいすよ遠くなくても届く声
うぐいすも聞いてる人はちゃんといる
うぐいすがひとりのために声を出す
うぐいすよ万人受けはいらないさ
うぐいすも好きな枝ならよく鳴ける
うぐいすがここでいいのだと言うように
うぐいすよ自分の森を育てよう
うぐいすも知らないうちに木をつなぐ
うぐいすがひと声ごとに森をつくる
うぐいすよ小さな仕事を馬鹿にするな
うぐいすが昨日の自分に笑いかけ
第六章
自分の声で鳴く
うぐいすよ誰かの真似で鳴かなくていい
うぐいすが今日の自分を声にする
うぐいすよ上手い下手より君の声
うぐいすも迷った日々を連れて鳴く
うぐいすが下手だった春忘れない
うぐいすよ遠回りさえ声になる
うぐいすが小さな森を誇りだす
うぐいすよ名などなくても鳴けばいい
うぐいすが誰かの朝を少し変え
うぐいすよ届いた声は消えはせぬ
うぐいすが昔の自分へ声送る
うぐいすよここまで来たと鳴いてみろ
うぐいすが一羽鳴いたら森が聞く
うぐいすよ今こそ自分の声で鳴け
森の中うぐいすの声鳴り渡る